初心者でも始めやすく、利回りも高い投資として、近年注目されているのが「ソーシャルレンディング」です。
複数の投資家から小口の出資を集めるので、融資型クラウドファンディングとも呼ばれています。
この記事では、
- ソーシャルレンディングの基本知識が知りたい
- メリットやデメリットにはどんなものがあるの?
- ソーシャルレンディング会社の選び方は?
- どんな案件を選ぶのがいいの?
- 税金周りの知識も知りたい
などの疑問や要望について、詳しく解説していきます。
ソーシャルレンディングを始めようと思っている方は、ここで前提知識を習得できます。
しっかりと読み込んでいきましょう!
もくじ
ソーシャルレンディングとは
ソーシャルレンディングとは、お金を調達したい会社とお金を出資して運用したい人を繋ぐためのサービスです。
ソーシャルレンディング事業者は、インターネットを通じて個人から出資を募り、その資金をまとめて会社側に融資をします。
借り手側の会社は、柔軟で自由な資金調達が可能になり、投資家は高い利回りで資産運用ができます。
リスクがゼロではありませんが、双方にメリットのあるサービスになります。
投資金額が1万円からが多いので、初心者でも始めやすい運用方法です。
複数の個人から出資を募る方法から「融資型クラウドファンディング」とも呼ばれています。
ソーシャルレンディングのメリット
ソーシャルレンディングの主なメリットは、以下のの4つです。
- 高い利回り
- 少額から投資が可能
- 手間がかからない
- 知識がなくても安定した利回り
それでは、次から詳しく解説していきます。
1:高い利回り
ソーシャルレンディングは、平均の利回りが8%と高いのが特徴です。
さまざまな金融商品があるなかで、これだけの利回りを安定して出せるのは、大きなメリットといえます。
高い利回りの理由としては、高い金利で融資をしているからです。
どんなに収益性が高く、将来性のあるビジネスでも、銀行は簡単には融資してくれません。
ソーシャルレンディングは、そういった会社に対して融資をしています。
それだけ高い利回りでありながら、貸倒れ率が低いため、投資家のあいだで人気の投資になっています。
ただし、貸倒れの可能性はゼロではないので、注意しなくてはいけません。
2:少額から投資が可能
投資と聞くと、まとまった大きなお金が必要になるイメージがありますが、ソーシャルレンディングは少額から投資ができます。
サービスによって異なりますが、最低1万円から投資が可能です。
小さい金額でどのようなサービスなのか、感覚を掴みながら気に入った案件があれば、徐々に金額を増やしていけます。
少額であれば、仮に失敗したとしてもそれほど大きな痛手にはなりません。
始めるハードルが、他の金融商品よりは圧倒的に低いので、投資が初めての人にもおすすめです。
3:手間がかからない
ソーシャルレンディングは、株式投資やFXのような価格変動がないため、定期的にチャートを確認する必要がありません。
基本的には、投資したあとは運用期間が終わるまで待つだけです。
他の金融商品よりは勉強の必要もないので、忙しい社会人でも簡単に投資できます。
4:知識がなくても安定した利回り
ソーシャルレンディングは、融資先が貸倒れしない限り元本割れを起こすことは、ほとんどありません。
資産運用としては、非常に安定した利回りを出せます。
また、経験者でも、全く投資経験がない初心者でも、同じ利回りで運用ができます。
株式投資やFXでは、経験者と初心者が同じように利益を出すのは難しいです。
投資をしたことがない初心者は、経験関係なく利益が出せるソーシャルレンディングをおすすめします。
ソーシャルレンディングのデメリット
手間がかからない、利回りが高いなどのメリットもありますが、いくつかデメリットもあります。
ここからはソーシャルレンディングのデメリットについて解説していきます。
主なデメリットとしては、以下の5つがあります。
- 貸倒れのリスク
- 運用期間が終わるまでは引き出せない
- 大きく資金を増やせない
- 運用期間が延期されることもある
- 手数料がかかる
しっかりとデメリットも理解したうえで、投資を検討していきましょう。
1:貸倒れのリスク
他の金融商品よりは、リスクが低いとはいっても、投資である以上元本割れの可能性はゼロではありません。
融資先の会社が貸倒れする可能性は、常に考えておきましょう。
貸倒れのリスクを回避するために、担保や保証のある案件を選ぶのがおすすめです。
2:運用期間が終わるまでは引き出せない
投資をすると運用期間中は、資金を引き出すことはできません。
急にお金が必要になっても、引き出すことはできないので注意しましょう。
投資の基本でもありますが、余裕資金で投資をすることをおすすめします。
また、初めてソーシャルレンディングを使って投資をする場合は、運用期間の短い案件から始めてみましょう。
3:大きく資金を増やせない
ソーシャルレンディングは、安定した利回りがメリットです。
その反面、株式投資やFXのように短期間で大きく増やせる投資方法ではありません。
ある程度、長い運用期間でコツコツ増やすのが基本なので、大きく増やしたい人は他の投資も検討してみましょう。
4:運用期間が延期されることもある
運用期間は決まっていますが、その予定通りに償還されない場合があります。
償還日が早まったり、延期になることは、ソーシャルレンディングでは珍しいことではありません。
必ず予定通りに資金が返ってくるとは限らないと思っておきましょう。
5:手数料がかかる
ソーシャルレンディングは、振込や出金の際に手数料がかかります。
利回りが高いとはいっても、ソーシャルレンディングはコツコツと運用していく金融商品なので、細かい手数料も非常に重要です。
他にも口座開設や管理手数料などがかかることがあるため、事前に確認しておかなくてはいけません。
ソーシャルレンディングの選び方
ここからは、ソーシャルレンディングの事業者と案件の選び方について解説していきます。
選び方で重要なのが次の3つです。
- 事業者の実績
- 基本は分散投資
- 利回りと運用期間
大切な資金を預けることになるわけですから、しっかりと事業者と案件に関して、事前に調べるようにしましょう。
1:事業者の実績
まず最初に確認したいのが、事業者の実績と信頼性です。
実績に関しては、ほとんどの事業者はサイト上で、成立案件数や累計の資金調達額などを公開しているので、サイト上で確認できます。
運用歴や親会社、他に運営しているサービスなども合わせて確認しておくといいでしょう。
成立案件数が多く、資金調達額が多いほうが、実績のある事業者と判断できます。
また、過去に不祥事などの問題を起こしていないか、しっかりと確認しておきましょう。
事業者名で検索すると、過去の不祥事などが確認できます。
不祥事によって、処分を受けたからといって必ず「悪い事業者」というわけではなく、その後きちんと業務を改善していれば問題ありません。
時間をかけて調べ、自分が信頼できる事業者を見つけましょう。
2:基本は分散投資
ソーシャルレンディングを始めたら、まずはお試しということで、運用期間の短い案件に少額投資をすることをおすすめします。
案件の見方やと投資の方法に慣れてきて、本格的に運用をしていくのなら、複数の事業者と案件に投資するように心がけましょう。
1つに集中しないようにするのは、もし貸倒れなどのトラブルになった際の被害をできるだけ抑えるためです。
どんなに実績や信頼性が高くても、100%安全というわけではありません。
ただし、あまりに増やしすぎると「手間がかからない」というメリットがなくなってしまいます。
自分の管理できる範囲で、少しずつ投資先を増やしていきましょう。
3:利回りと運用期間
利回りと運用期間は、運用益に直接関わってくる重要な部分です。
どちらも必ず成功する数字はありません。自分の運用スタイルに合わせて選びましょう。
利回りは基本的に、低ければリスクが少なく、高ければリスクが高いという考え方になります。
多額の余裕資金を用意できて、多少のリスクを背負っても早い段階で運用益を出したいなら、利回りの高い案件を中心に検討してみましょう。
リスクは低いほうがいい、と考えるなら利回りの低い案件がおすすめです。
ただし、利回りが低くても、貸倒れの可能性はゼロではないことは忘れてはいけません。
その際は、担保と保証の有無も確認しておきましょう。
万が一のときに、全額ではないかもしれませんが、投資した金額が戻ってきます。
運用期間が短い案件の特徴
運用期間に関しては、数ヶ月と短い期間のほうが経営の予測が立てやすいこともあり、リスクは低いです。
その分、数ヶ月で新たな案件を探す手間が増えますし、そのたびに事業者に対して新たに手数料を支払わなくてはいけません。
運用期間が長い案件の特徴
運用期間が長いと、数年後まで経営の見通しを立てるのは難しいため、リスクは大きくなります。
しかし、一度の投資で済むため手間がかからず、手数料も抑えられます。
どちらにもメリット・デメリットがありますが、まずは短い期間から投資をしていき、自分の運用スタイルに合った期間を見つけましょう。
ソーシャルレンディングおすすめ7選を比較!
ソーシャルレンディングの事業者は、非常に多くあり、初めて利用する人はどの事業者を利用すればいいか迷うことも多いでしょう。
また、数は少ないのですが、過去には悪質な事業者もいたため、慎重に選ぶ必要があります。
ここからは、おすすめのソーシャルレンディング事業者をご紹介していきます。
事業者選びで迷っている人は、ぜひ参考にしてください。
CREAL(クリアル)
CREALは、透明性を重視したソーシャルレンディングです。
投資家にとっての不安要素である、投資先の細かい情報をしっかり確認したうえで、投資ができます。
最低投資金額も1万円と初心者でも気軽に始められます。
運営会社は「株式会社ブリッジ・シー・キャピタル」で、運用資産残高約300億円と実績と信頼性もあります。
ただし、2018年の年末にサービスを開始したこともあって、案件数は若干少なくなっています。
クラウドバンク
クラウドバンクは、2013年にサービスを開始し、5年以上の運営実績があります。
短い運用期間の案件を中心に扱っており、リスクを抑えて投資したい人に最適です。
公式サイト上では、実績平均利回りが6.79%と公表されています。
ソーシャルレンディングのなかでは、そこまで高い数字ではありません。
しかし、その分リスクが低く、短い期間を繰り返して運用していきたい人にはおすすめです。
口座開設手数料と販売手数料がかからないので、始めやすいのも魅力の1つになっています。
SBIソーシャルレンディング
SBIソーシャルレンディングは、SBI証券や住信SBIネット銀行などを運営しているSBIホールディングスが親会社です。
親会社が大きなグループのため、信頼性と安全性、健全性が高いのが、最大の魅力になっています。
案件はリスクを抑えたものが多いので、初めて投資をする人にもおすすめです。
ただし、人気の案件はすぐに募集金額まで集まるため、投資するまでに時間がかかることがあります。
OwnersBook(オーナーズブック)
OwnersBookは不動産の案件を中心にしたソーシャルレンディングです。
不動産を担保に設定している案件が多いため、万が一のときも元本割れのリスクが低くなっています。
利回りは、平均で5%程度と高くないため、リスクを取らずにコツコツと増やしたい人におすすめします。
建物の状況や物件評価額などが詳しく見られるので、透明性も高いのも特徴です。
物件リスク評価など、案件を選ぶ際に役立つ情報が多く掲載されているため、初心者でも選びやすい環境が整っています。
LENDEX(レンデックス)
LENDEXは不動産案件をメインに扱っているソーシャルレンディングです。
どの案件も利回りは10%近くあり、非常に高利回りに設定されています。
運用期間は1年以内と短いものが多く、不動産担保が設定されている案件が多いです。
そのため、利回りは高いですが、リスクも抑えて運用が可能になっています。
担保不動産に対しては、LENDEXと第三者の調査によって査定されているため、安全性も高いです。
短期間でしっかり運用益を出したい人におすすめします。
LCレンディング
LCレンディングはJASDAQ市場の上場企業である、LCホールディングス株式会社の子会社です。
会社の規模が大きいため、信頼性・安全性は高いのが最大のメリットになります。
さらに「LCホールディングス保証付ファンド」であれば、貸倒れがあっても元本は保証されます。
保証付の案件は、利回りも低くなっていますが、リスクが低いので人気の案件になっています。
クラウドクレジット
クラウドクレジットは新興国を中心として、海外への投資をメインに扱っています。
案件にもよりますが、10%を超える案件も多くあります。
ただし、それなりにリスクの高い案件も多いため、しっかりと見極める必要はあります。
ここ数年で一気にユーザー数を伸ばしており、注目されている事業者です。
海外向けの投資になるため、分散投資という意味でもおすすめできます。
ソーシャルレンディングの税金の知識も把握しておこう
最後に、実際にソーシャルレンディングで利益がでた場合、それにかかる税金知識を紹介しておきます。
これは、ソーシャルレンディングをはじめるのであれば必須の知識ともいえますので、今の段階から把握しておくことをおすすめします。
では、早速見ていきましょう。
ソーシャルレンディングによる所得にかかる税金
ソーシャルレンディングで得た所得は、雑所得として扱われ、その所得が20万円を超えた場合、所得税の課税対象となってしまいます。
基本的にソーシャルレンディングサービスを行う事業者は、源泉徴収を行ったうえで分配をするため、投資家たちが受け取る分配金では、すでに税金が差し引かれた状態となっているのです。
つまり、事業者側が投資家の代わりに、国に税金を納めてくれているともいえるでしょう。
このときに差し引かれる税金は、
- 所得税:20%
- 復興特別所得税::0.42%
の合計20.42%となっています。これを分配金から、一律に源泉徴収するのです。
こうなってくると、
といった考えが浮かぶものですが、その考え方は少し違います。
ここでポイントとなるのは、事業者側が払ってくれている税金はあくまでも一律(20.42%)であり、個人単位で支払うべき税率とは異なるという点です。
個人単位で支払うべき税率とは
ソーシャルレンディングで得た分配金は、先にお伝えした通り、雑所得にあたります。
またこのときの分配金への課税方式は、「総合課税の税率」が適用され、給与所得や他のファンド分配金を合算した額によって税率が決定するようになっています。
税率の幅としては、5~45%となり、
- 所得額が195万円以下なら5%
- 所得が4,000万円を超えるなら45%
といった具合に、所得に応じて税率が異なるのです。
またそれに加え、控除額についても、所得額に応じて変化します。
詳しくは国税庁の「所得税の税率」に記載されている表より確認してみましょう。
このときの税率によっては、確定申告によって払いすぎた税金が還付されるケースもあります。
確定申告で還付されるケースもある
所得税の税率は、先にお伝えした通り、給与所得や他のファンド分配金がどのくらいなのかによっても異なるものです。
先ほど紹介した国税庁の「所得税の税率」で紹介されている表において、もし自身の所得に適用される税率が20.24%よりも低いのであれば、確定申告をすることで還付を受けることができます。
反対に、20.24%よりも高い税率だった場合では、税金を追加で支払う必要があるということとなります。
ソーシャルレンディングでは損益通算ができない?
節税のことも考え、ソーシャルレンディングで得た利益については、FXや株式投資で被った損と損益通算したいところですが、これはできません。
しかし基本的に雑所得にあたるものであれば、合算ができるため損益通算は可能です。
こう思われた方もいるでしょうが、同じ雑所得でもFXに関しては、分離課税となり計算方式が異なるため、損益通算ができないのです。
あくまでも、おなじ分類に属する所得同士でしか、損益通算ができないということを覚えておきましょう。
自分にピッタリのソーシャルレンディングを見つけよう
ソーシャルレンディングは手間がかからず、利回りが高いなどのメリットがあります。
しかし、一方で貸倒れのリスクや運用中の引き出し制限などのデメリットもあります。
手間のかかる株式投資やFXと比べると、必ずしも良い投資先というわけではありません。
しっかりと事業者や案件、利回り、運用期間など確認して、調べてから投資をしていきましょう。
継続して運用していくには、自分の運用スタイルに合った投資先を見つけることが大切です。
その際は、ぜひ今回の記事を参考にしてください。